2019年4月より労働法が改正され、その一部である有給休暇義務化が施行されました。
自由に休みが取得できる!
と喜んでいるあなた、、、その考えは甘いです。
そもそも、会社が安易に有給消化させてくれるでしょうか?
有給消化させてくれたとしてもそれは、会社の苦渋の決断で、会社としては大きなダメージを受けています。
有給休暇義務化とは、労働者の心身のリフレッシュを図ることを目的としていますが、半ば強引なやり方で企業を追い込んでいる感があり、企業にとっては人手不足など問題を抱える中、苦境に立たされている状況ではないでしょうか。
企業側は対象の労働者に有給休暇の取得を働きかける義務が生じるわけですが、これを怠った場合は企業側に罰則が科されることとなります。
さらに、残業時間の上限規制なども盛り込まれているため、会社としてもボディブローのようにダメージを受けることは必至。
益々あなた自身の会社への依存を考えさせられる時です。
有給休暇の取得で会社はどれくらいの損失を被るか?
社員が有給休暇を取得した場合、その社員は仕事をしていないにも関わらず給料が支給されます。
これまでの有給休暇取得は会社と社員、両方の歩み寄りによりなされていたもの。
今回の義務化により、社員の一方的な有給休暇取得は会社にとっては損失を被る。ということになります。
会社は、請求された有給休暇申請が事業の正常な運営を妨げる場合は、他の時季に有給休暇を与えることができますが、他の時季でも会社としては
社員を遊ばせるわけにはいかないので個々の社員の作業スケジュールを把握しながら与えるべき仕事を与えていると思います。
例えばある会社に従業員100名いたとします。
全社員に年間5日間の有給休暇を取得させた場合の会社の損失を考えます。
社員の1人月単価が60万円だった場合、社員1日当たりの単価は、60万円÷30日=2万円となります。
社員1人に年間5日の有給休暇を取得させると、2万円×5日=年間10万円
全社員100人いるので100人×10万円=1千万円
100人規模の会社で全社員に有給休暇を取らせた場合、年間1千万円の損失を会社は被ってしまうのです。
会社にとっては新たな事業投資や人材確保も考えさせられます。
会社側の予想される対策
これまで社員の有給休暇の取得は、止むを得ない場合(例えばインフルエンザなどの病気や慶弔ごと)に会社と社員との間で穏便に決められていたと思います。
しかし、労働法という法律でしかも罰則付きとなると会社も従うしかないですが、会社にとってはいきなり全社員年間5日の有給休暇を取得させることは正直難しいです。
なぜなら、会社規定の休日以外で常に100%の稼働率を考えて社員に仕事を与えていたが、今回の有給休暇取得によってさらに仕事を休ませるとなると、稼働率低下は免れません。
またクライアントからの仕事も有給ありきでのスケジュールは組ませてもらえないでしょう。
SES(システムエンジニアリング)契約となると、労働力を提供するので有給休暇取得で休んだ場合ですとその分クライアントからの報酬はもらえません(取り決めた1ヶ月あたりの作業時間を下回る可能性)
で会社の対応はと言うとSNSやネット上において、
これまで休日だった日(夏期休暇や祝日を出勤日にする)を減らしたり、はたまた休日を出勤日という扱いにして、そこに有給を割り当てることにより年5日間の有給消化義務を果たそうという考えも起きるだろうと言われています。
有給休暇の使用によってその本人に不利益が生じるようなことをしてはいけないと法律は言っていますが、法律の抜け穴を見つけ出し会社が損をすることのない対応をしてくることは間違いないようです。
45歳早期退職・希望退職者募集
ご存知でしょうか?2018年より東証一部上場企業が早期退職・希望退職者募集し始めている状況を。
昭文社
コカ・コーラボトラーズジャパンホールディングス
NEC
エーザイ
富士通
アルペン
など
どの企業も45歳以上をターゲットとしていて、以前に比べて低年齢となっているのがポイントです。
45歳を基準に組織を若返りさせようという厳しい戦略も取らざるを得なくなっているのでしょう。
まとめ
今回の労働法の改正は有給休暇義務化に加え残業時間の上限規制、高度プロ制度など、会社にとっては非常に痛いものとなりました。
さらにそれによる会社の実務的な対応も多くなり負担となることでしょう。
法律が施行されてまだまだ始まったばかりですがいろいろな問題がでてきそうです。
こういった会社の危機感を感じながらリスクヘッジを考え、そろそろ「会社に依存して”はたらく”」というスタイルを見直してみませんか。