6月10日は「時の記念日」。
由来はあるの?
ねらいは何?
6月初の祝日になるのはいつ?
日本人は世界的にも時間に厳格であることはよく知られています。
しかし、過去には日本人は時間にルーズだったことはあまり知られていません。
この記事では、6月10日の「時の記念日」にちなんで、その由来や制定のねらいなどをわかりやすく解説していきます。
「時の記念日」由来
日本で初めて時刻を知らせる鐘が鳴らされた日が6月10日。
日本最古の史書「日本書紀」によれば、天智天皇が日本に初めて設置した時計から鳴らされたものであると書かれています。
設置の理由には、時刻を認識することが社会や文化の発展に不可欠であるとのお考えがあったのです。
当時の時計は「水時計」(別名「漏刻」)といわれています。
天智天皇といえば、
「秋の田のかりほの庵の苫をあらみわが衣手は露にぬれつつ」
という百人一首で有名です。
そんな天智天皇が祀られている滋賀県は近江神社にて、毎年6月10日になると「漏刻祭」が行われます。
「漏刻祭」では、天智天皇に時報をはじめた感謝の気持ちを捧げると同時に、社会・文化・産業の発展、家内安全を祈願する祭典として毎年行われています。
参列者には、びわ湖大津観光大使や各時計メーカーが参列。
新製品の時計を御神にお供えし、時計の歴史の発展と感謝の気持ちを捧げます。
では、6月10日を「時の記念日」として制定したねらいは何だったのでしょうか?
次節で解説します。
意外な過去がわかりますよ。
制定のねらいは何?
制定のねらいは以下の通りです。
- 日本国民に時間の厳守をしてほしい!
- 欧米並みの生活を送って欲しい!
このように我々日本人に「時間の大切さ」を認識してもらおうという思いがあったのです。
意外ではないですか?
現代では、日本の電車やバスといった公共機関などは、分単位で運行することが当たり前になっています。
しかし、当時の日本人は意外にもルーズだったようです。
では制定者は誰なのか...
それは、1920年(大正9年)文部省の外部機関である「生活改善同盟会」と「東京天文台」によって制定されたのです。
当時、文部省の主催により東京教育博物館にて「時の展覧会」が開催されました。
その時の展覧会では約22万人もの人が訪れ大盛況となり、制定に至る契機となったのです。
展覧会では、様々な絵葉書などの印刷物などが出版されました。
その一例を紹介します。
以下は、「婦人一生のお化粧時間」という展覧会での印刷物です。
婦人のお化粧に要する時間があまりにも長いので、それを見直そうという内容です。
この内容を見ると、化粧に1時間30分、入浴に1時間20分、さらに寝る前の髪直しに10分など、1日に合計3時間30分もの時間を化粧時間に当てていたことがわかります。
現代の婦人であれば、子育てや仕事などで多忙の日々を送る方が多いです。
ですので、この資料にあるような化粧に1時間30などという時間を取ることは難しいでしょう。
過去の日本人は時間にルーズという考えもあるかもしれませんが、現代の日本人はもしかするとそれに時間をあてられる時間が(仕事、子育てなど)なくなってきたとの考えもできるのではないでしょうか。
以上、「時の記念日」の由来やねらいについて解説しました。
しかし、現代では「時間」は大変貴重なものです。
「時は金なり」と言われていましたが、それはもう過去の話。
「お金」は無くなっても働けば得ることはできますが、「時間」は取り戻すことはできないので「時間 > お金」です。
次節「時間」の大切さを、これからの子供たちにわかってもらうためにはどうすれば良いのかを解説していきます。
保育に使える!「時間」の大切さを幼児にもわかりやすく伝える方法2選!
幼児に「時間>お金」などと伝えても理解できません。
しかし、幼児のうちから「時間」の大切さは知っておかなければなりません。
大人になっても時間にルーズだと、他人に迷惑を掛けるばかりではなく、企業などでは損害を被ってしまうこともあります。
ではどのように、幼児に「時間」の大切さを伝えていくのか、以下2つを解説していきます。
- 絵本の読み聞かせ!
- オリジナルの時計を手作りで!
1.絵本の読み聞かせ!
幼児にとって絵本は、人生の最高の教科書です。
(僕たち大人が本を読むように)
だから、絵本を読み聞かせることでまずは興味を引き、その中で「時間」を教えると効果的。
要するに「何時になったら起きて、何時になったらお昼ご飯を食べる」という「時間」の理屈を覚えてもらうのです。
僕の子育ての経験ですが、子供(幼児)に掛け時計を見せて、
「短い針が12を指したらお昼ご飯にしよう」
こんなことを言っていましたが、実際12時になっても子供(幼児)は「12時になったからご飯が食べたい!」と言ってきませんでした。
しかし、ある本がきっかけで時計に興味が沸き、時間が来ると自身で行動をするようになりました。
その本とは「アンパンマンいまなんじ?とけいであそうぼう」 と言う本です。
アンパンマンいまなんじ? とけいであそぼう / やなせたかし / 東京ムービー
当時子供(幼児)はアンパンマンにすごく興味があり、テレビなどを見ていました。
そんな身近なアンパンマンが本に登場します。
本を読む中で、朝から夜までを大好きなアンパンマンと一緒に過ごせるという感覚が、子供(幼児)にとってはとても魅力的だったのでしょう。
付属の手で動かせる時計を、一生懸命に動かし「おはよう」「おやすみ」が言えるようになったのです。
さらに、自宅の掛け時計を見て、12時にもなるとお昼ご飯を食べに食卓へ来るようにもなりました。
子供(幼児)にとって絵本での学習は、大変効果的です。
とくに身近なキャラクターや好きな動物が登場する絵本だと、さらに興味が湧いてくるはずです。
2.オリジナルの時計を手作りで!
もう一つの方法は、子供(幼児)と一緒に時計を作ることです。
なぜなら、子供(幼児)は工作が大好きです。
子供(幼児)は与えられた題材に対し、絵具やクレヨンで塗ったり、紙を折ったり切ったりしながら自分のオリジナル(個性)を確立していきます。
そうすることで、自作のものにはすごく興味を持ち、いつまでも遊んだりしながら大事に使っているのです。
つまり、遊びながら針を動かして自然と時計の原理や仕組みも理解できます。
自作の時計に興味を持ち大事にすることは、「時間」をも大事にすることに繋がっているのです。
手作り時計は、幼稚園では「時の記念日」になると、よく行われる行事です。
時の記念日だから
幼稚園で作ったんだって。ネコ型( ´ ▽ ` )めんこい pic.twitter.com/I6a5Nm2RXC
— あんこぱん。 (@nR2Ze5L01Ab3PvA) June 8, 2018
幼稚園で時の記念日のイベント。6月10日の「時の記念日」を前に、大分市の幼稚園児が時計の仕組みとともに時間を守る大切さを学びました・・そうですか。
— いろんな記念日bot (@iroirokinenbi) June 21, 2014
では次節、「時の記念日」には何かイベントがあるのか、紹介していきます。
時計メーカーにおけるフェアやイベント
2018年の「時の記念日」には、銀座のランドマークである和光の時計台(セイコー)が「お休み」しました。
このように、時計メーカーであるセイコーが和光の時計台を「お休み」したのには理由があるのです。
それは、日々時間に追われ、ゆっくり過ごすことができない現代人に向けて
「たまには時計を見るのを忘れて、心の余裕を取り戻してみよう!」
という願いが込められて実施されたものなのです。
では、セイコーや他の時計メーカーでは「時の記念日」においてどんなフェアやイベントを開催しているのでしょうか。
セイコー:機械遺産を展示
出典:セイコー
「セイコー」は、2019年の「時の記念日」には、国産腕時計の歴史において「機械遺産」に指定される貴重なアーカイブ3点
「ローレル/1913年」、「初代グランドセイコー/1960年」、「クオーツアストロン/1969年」を銀座三越に展示。
この3点は、日本が誇る精密機械技術の始まりと言っても過言ではありません。
さらに、新作や銀座地区限定モデルの腕時計もここで紹介されました。
現在の、さらに高度で精密な時計が作られるのも、この3点が原点なのです。
シチズン:キズ耐久試験をWEBサイトで初公開!
「シチズン」は2018年6月10日、シチズン独自の技術を使った時計「CITIZEN ATTESA」の新商品「フローズングレー限定モデル」のキズ耐久試験を行い、経過をWEBサイトに公開しました。
24時間、計3,766発の金属球の落下衝撃による、キズに対する強さを検証するために行われたものです。
さて「CITIZEN ATTESA」はどうなったのか、以下動画で紹介していますよ!
これまで解説してきた「時の記念日」は神社や企業、保育において大いに盛り上がっています。
しかし「時の記念日」については、特に休日(祝日)といった扱いはありません。
世間の「時の記念日」に対する認知度などを調査した内容を、次節で解説します。
時の記念日が6月初の祝日となるのはいつ!?
実は「時の記念日」を、6月の国民の祝日にすべきとの意見が多いのはご存知でしょうか?
しかし、まだ実現には至っていません。
その理由を解説します。
以下、2006年に時計メーカーである「シチズン」が行った「時の記念日」に関する質問とその結果です。
質問.
「時の記念日」を祝日にした方がよいでしょうか、現状でよいでしょうか。
結果.
- 祝日にするべき :31%
- どちらかと言えば祝日にするべき:30.5%
- どちらかと言えばしなくてよい:15.5%
- 祝日にする必要はない:23%
約60%の方が6月10日「時の記念日」を祝日にすべきだ!という声をあげています。
休日が増えるのは、体も休めたり、趣味などに打ち込んだりと自分の好きなように過ごせるので嬉しいもの。
しかし「祝日にすべき」という声は意外にも少ないなぁと思います。
では「祝日にすべき」と答えた約60%の方の理由は以下の通りです。
1920年に制定された歴史ある記念日なのでふさわしい:8.5%
年間労働時間短縮には祝日を増やすべきなので:34.1%
6月には法定休日が一日もないので:66.7%
時間に几帳面な日本人にふさわしいので:6.5%
休日にすることで「時間の大切さ」を考えることができる:21.5%
梅雨の時期なので出社・通学の煩わしさから解放される :8.1%
最も多かった意見は、「6月は法定休日がない」とというもの。
また、労働時間短縮については、現在では「働き方改革」によりある程度は改善されています。
以上の理由では、制定までに至るには、まだ弱いですよね。
反対に、「祝日にすべきでない」と答えた残りの約40%の方の理由は以下の通りです。
日本は法定休日が諸外国より多いので増やす必要はない:11%
「時の記念日」では祝日にするインパクトが弱い:61%
祝日にふさわしい記念日が他にある:22.1%
年間労働時間をこれ以上減らす必要はない: 13.6%
祝日にするインパクトが弱い!と言う声が圧倒的に多いです。
前述した「祝日のすべき!」との理由の多くが、6月の法定休日を求めるものだったり、労働時間短縮というもの。
ですが、これらは「時の記念日」でなくとも代替は可能です。
では「時の記念日」でしかできない特別なことはあるのでしょうか。
例えば、体育の日(2020年からはスポーツの日)などといった全国民一致団結してイベントなど活動できる機会があればインパクトはもっと強くなると思います。
体育の日などは、小学校や中学・高校などで運動会や体育祭が行われます。
また民間団体ではプロアスリート選手などと交流しながら、スポーツを楽しんだり健康向上を目的としたイベントが設けられています。
ですので、みんなで力を合わせて競技することで協働意識が芽生えたり、健康促進につながるなど、体育の日(2020年からはスポーツの日)は僕たち国民にとっては大変メリットのあることなのです。
ですから、「時の記念日」にしかできない特別なこと、そして国民みんながそのメリットを享受できるよう考えていかなければ祝日は現実化されません。
小さなコミュニティから始めて行けば、自ずと全国的に広まります。
そうすることで認知度は高まり、「時の記念日」の祝日化も見えてくるはずです。
まとめ
6月10日の「時の記念日」について解説しました。
- 由来は日本で初めて時刻を知らせる鐘が鳴らされた日が6月10日。
- 狙いは、日本人に「時間の大切さ」を認識して欲しい。
時間は大切です。
決して戻ることはありません。
ですから、子供の頃からきちんとした教育で時間の大切さを教え、大人になっても恥ずかしくない時間の使い方をして欲しいものです。
また、「時の記念日」を大いに盛り上げて6月初の祝日制定を目指していきましょうね!
2020年は「時の記念日」が制定されちょうど100周年!
100年の歴史を刻んだ時計や、時計技術発展の過程などを見てみたいものですね。