6月17日は「おまわりさんの日」
でも、
由来は何なの？
警察官の階級・職務などが知りたいな！
小学生の将来なりたい職業で、常に上位にランクインしているおまわりさん（警察官）。
また、テレビドラマなどでもド派手なアクションを繰り広げ、犯人と格闘したり逮捕したりするシーンは誰しも憧れを抱いたことがあるのではないでしょうか。
そこで今回は、「おまわりさんの日」にちなんで、その由来や警察官の階級や職務を、人気ドラマの役柄を例にしながらわかりやすく解説していきます。
階級を知ることで、もっとおもしろく刑事ドラマも楽しめますよ！
「おまわりさんの日」由来
１８７４年（明治７年）、日本で初めて「巡査制度」が誕生したことに由来します。
また同年には（東京）警視庁が創設され、日本における近代的な警察制度が始まりました。
そもそも警察官を「おまわりさん」と呼ぶようになったののには理由があります。
警察官のみなさんが街の安全を守るためにパトロールすること、つまり
パトロール➡︎巡回➡︎巡（まわ）る➡︎「おまわりさん」
と呼ぶようになりました。
刑事事件を主に扱う警察官を「刑事さん」と呼ぶのと同じように、警察官のなかでもある任務に特化した警察官の"愛称"として特に子供たちの中で親しまれています。
では「おまわりさんの日」の由来となった「巡査制度」の「巡査」とは一体どういうものなのか、次節「警察官の階級制度と職務」の中で解説します。
警察官の階級制度と職務
警察官の階級制度（警察法）は、全部で９階級あるのはご存知でしょうか？
- 巡査
- 巡査部長
- 警部補
- 警部
- 警視
- 警視正
- 警視長
- 警視監
- 警視総監
ここでは警察官の階級や職務について、順番にわかりやすく解説していきます。
あの刑事ドラマに出演している人気俳優が、どんな階級なのかも紹介します！
1.巡査
「おまわりさんの日」の由来となった「巡査制度」における「巡査」です。
「巡査」とは、警察官における最下位階級のこと。
「巡査」は、（都道府県）警察官採用試験に合格した際に、学歴に関係なく警察学校に入校した時から与えられる階級です。
ただし、警察学校に入校している間は研修中なので、現場でのパトロールや事件捜査などの活動はほとんどありません。
（しかし過去には例外として、1972年「あさま山荘事件」などの大規模事件においては後方支援（雑務）として出動したという事例があります）
警察学校を卒業（大卒は6ヶ月）後は、「巡査」として警察署などに配置され職務にあたります。
主に交番や駐在所などでの勤務、各部署で担当する事件の捜査や事務が主な仕事です。
ドラマで言えば、あの「相棒」でおなじみ反町隆さん演じる「冠城亘」、アニメ「こち亀」の「中川」や「麗子」も同階級です。
若くて破天荒、パワー溢れる印象です。
「巡査」について解説してきましたが、実は「巡査」の職務において「巡査部長」に昇格しないとできない職務があります。
それは犯人の「取り調べ」です。
「巡査」は犯人逮捕はできても、犯人の「取り調べ」はできないので、上位の「巡査部長」などに引き渡さなければなりません。
次節、「巡査」の上位階級である「巡査部長」について解説します。
2.巡査部長
「巡査部長」は、その上位階級である「警部補」などの補佐や、新任警察官の指導など、実働の中核として実践的な職務にあたります。
民間企業でいうところの「主任」という役職に近いです。
その「巡査部長」に「巡査」から昇任する方法は以下の通りです。
巡査として一定の勤務実績※を経て、昇任試験を受けて合格する。
※警視庁I類（大卒者）であれば1年以上となります。
TVドラマでは「踊る大捜査線（テレビシリーズ）」の織田裕二さんが演じる「青島俊作」や、深津絵里さん演じる「恩田すみれ」が同階級です。
巡査部長とはいえ、まだまだ泥臭い職務で日々犯罪に向き合っている姿が印象的です。
さらに、警察組織のあり方（縄張り主義や縦割り社会）などの疑問を持ち、上層部と対立するという（初任）管理職ならではの悩みも持っていました。
3.警部補
「巡査部長」の上位であり、「警部」の下位である「警部補」はチームリーダーとして現場責任者の役割となります。
民間企業でいうところの「係長」という役職で、巡査や巡査部長を管理していく中間管理職です。
また交番の所長などといった責任者にもなります。
その「警部補」に「巡査部長」から昇任する方法は以下の通りです。
巡査部長として一定の勤務実績※を経て、昇任試験を受けて合格する。
※警視庁I類（大卒者）であれば1年以上となります。
TVドラマでは「踊る大捜査線（テレビシリーズ）」のユースケ・サンタマリアさんが演じる「真下正義」が同階級です。
頼りない一面もありましたが、「真下正義」はなんと東大卒で警察庁採用のキャリア警察官なのです。
キャリア警察官だと、最初の階級は「警部補」。
警察庁採用のキャリア警察官であれば、通常の都道府県警察官と違い「階級」も飛び級で昇進するのです。
4.警部
「警部」は、警視庁や道府県警察本部の課長代理（補佐）、警察署の課長などの役職に就きます。
そして各担当の責任者として部下を指揮することです。
また、警部以上の階級でないとできない職務があります。
それは、裁判所への逮捕状の請求です。
よくテレビなどの刑事ドラマで、デスクに座っている警察官上司に逮捕状を請求して欲しいというシーンがありますよね。
そのデスクに座っている警察官の階級が「警部」（以上）の警察官なのです。
その「警部」に「警部補」から昇任する方法は以下の通りです。
警部補として一定の勤務実績※を経て、昇任試験を受けて合格する。
※学歴不問で警視庁であれば4年以上となります。
「警部」という階級は、テレビドラマでは「相棒」で水谷豊さん演じる「杉下右京」、アニメではルパン三世の「銭形警部」が同階級ですので割と馴染みのある階級でしょう。
「警部」は逮捕状の請求ができることから、強大な権限を持っているのは事実です。
しかし「警部」とはいえ、テレビでは積極的に現場で実務をこなしている姿があることから、さらに上位の警察官がいるのもご存知でしょうか。
以降、「警部」以上の警察官の階級について解説します。
5.警視
警視庁では、方面本部副本部長・警察学校各部長・課長・隊長・理事官・管理官という、現場にはあまり足を踏み入れることがない警察官幹部です。
民間企業でいう「課長」が相当します。
また、中小規模の警察署長に就くこともあります。
そして驚くべきことは「警視」は警察官全体の約２.５％しかいない大変難関な階級です。
「警視」に昇進する方法についても、もはや昇進試験というものはなく周囲からの評価による「選考」により昇進します。
ですから、これまでの試験という自分だけの実力だけではどうにもなりません。
その「警視」に「警部」から昇任する方法は以下の通りです。
警部として一定の勤務実績※を経て「選考」による。
※学歴不問で警視庁であれば6年以上となります。
テレビドラマでは「踊る大捜査線」で斉藤暁さん演じる「秋山 晴海」が同階級で、湾岸署の副署長をしています。
湾岸署長の顔色を伺いながら、常に署長と行動を共にしていますよね。
署の運営などに携わる階級で、署長の補佐が主な仕事のようです。
6.警視正
警視庁であれば、主要課長（各部総務課、捜査第一課、保安課、交通規制課など）となったり、警察学校副校長 。
都道府県警察であれば、本部部長や警察学校長、主要参事官などという役職です。
また、大規模警察署長となることもあります。
この階級からは、身分が「地方公務員」ではなく「国家公務員」となりますのでノンキャリア（都道府県採用）警察官ではかなり狭き門です。
その「警視正」に「警視」から昇任する方法は以下の通りです。
警視正として一定の勤務実績※を経て「選考」による。
（都道府県）警察官採用試験で採用されたノンキャリアの警察官では、最速で昇進したとしても50歳代となります。
ですから、「警視正」を目指すのであれば、国家公務員試験を受験し警察庁採用として警察官になることをお勧めします。
そうすれば、30歳代と比較的若くして「警視正」になることが可能です。
「踊る大捜査線」で柳葉敏郎さん演じるキャリア官僚「室井慎次」や、湾岸署署長である北村総一朗さん演じる「神田総一朗」が同階級です。
階級は同じだけれど、キャリアかノンキャリアで立場が全く異なりますよね。
しかし、ノンキャリアでも「警視正」という階級まで上り詰めた「神田総一朗」はすごいです！
7.警視長
警視庁では、警察学校長、主要参事官や方面本部長 、
都道府県警察では主要部長、小規模県警の本部長となります。
（都道府県）警察官採用（ノンキャリア）からでもなることは可能ですが、現実は非常に厳しく、ノンキャリア警察官では最高階級になります。
国家公務員試験に合格し警察庁へ採用された「キャリア組」の警察官が採用20年目辺りで勤務成績優秀者から昇任しているのが現状です。
「踊る大捜査線」で真矢みきさん演じるキャリア官僚「沖田仁美」が同階級です。
「事件は会議室で起きている」と青島と対立したり、現場での捜査員を「消耗品」と発言するなど、出世や権力へ執着心が強いイメージのキャラでした。
実際この「警視長」という階級は、事件現場での活動はありません。
警察行政を計画・管理したりと、仕事内容は法整備や都道府県警察の監督業務といったデスクワークが中心です。
8.警視監
県警の主要本部長・副本部長、警察庁次長・局長、警視庁副総監や各部長など。
各機関において、次長、副総監といった警察機関のナンバー２の椅子に座れる人です。
「踊る大捜査線」で柳葉敏郎さん演じるキャリア官僚「室井慎次」が最終的に昇り詰めた同階級です。
9.警視総監
「警視総監」は警視庁トップの階級で、1人しかなれない階級です。
ちなみに混同されやすい「警察庁長官」は警察庁のトップで、警察法において階級制度を適用されていません。
また「警察庁長官」は、「警視総監」よりも高い階級となります。
ドラマでは、「奥様は警視総監」かたせ梨乃さん演じる「橘朝子」が同階級です。
「警視総監」は階級が高すぎたり、仕事内容があまりにも事務的なのが原因なのか、あまりテレビでは見られない階級です。
ですから、「奥様は警視総監」は大変貴重な警察トップを描いたものですので、ぜひご覧になってはいかがでしょうか。
まとめ
6月17日「おまわりさんの日」の由来や、警察官の階級・職務について解説しました。
- １８７４年（明治７年）、日本で初めて「巡査制度」が誕生したことに由来
- 警察の階級は全部で９階級（ノンキャリでの出世最高位は「警視長」）
「おまわりさんの日」にちなみ、警察官の階級制度を人気のテレビドラマと共に解説しました。
警察の階級制度は、ご存知でない方もいらっしゃると思います。
ですが、これを機に刑事もののドラマを見ると立場などがわかるので、きっとおもしろくなることでしょう。