WEBプログラマーの採用にあたり、ポートフォリオはなぜ必要なの?
どんな風にどこまで作ったらいいのだろうか。
悩んでばかりで時間が経つばかりです...
本記事の内容
- 企業がポートフォリオを求める理由
- 好まれるポートフォリオの作り方
- ダメなポートフォリオ
本記事を書いている僕は、IT企業とWEB会社を経て、現在WEB系フリーランスとして活動中。
僕が過去4回の転職の中で、ポートフォリオを提出した経験はたった1回。
ポートフォリオって何?というレベルで、結局提出したのは、これまで僕が趣味で作っていたWEBサービス2つ。
ですから、ポートフォリオをあらためて作ったわけではなく、自前で作っていたものをちょっといじって(整形し)サッと提出した程度です。
それでもちゃんと採用されましたから、ポートフォリオはきちんとポイントさえ押さえて作れば、企業に響くものになるんだなと思いました。
この記事では、未経験からWEBプログラマーを目指す方に、企業に好まれるポートフォリオの作り方のポイントなどについて解説していきます。
記事後半では、ダメなポートフォリオもご紹介!
無駄な「ポートフォリオ」を作らなくて済みますので転職・就職活動にも注力できます。
1.【前提】企業がポートフォリオを求める理由
はじめに、なぜ企業はポートフォリオを求めているのかを解説していきます。
- プログラミングのスキル面のレベルを計る
- 課題意識があるか確認
1.プログラミングのスキル面のレベルを計る
採用にあたって「履歴書」「面接」、既卒の方であれば「職務経歴書」をもとに採用可否が判断されます。
人柄や、コミュニケーション能力の有無についてはこれらで把握できます。
ですが、実際どこまでプログラミング知識・能力があるかまでは判断できません。
つまり、ポートフォリオは現在のあなたが、プログラミングをどこまでできるのか実力を証明するものです。
決して受験のような「テスト」ではありませんよ。
2.課題意識があるか確認
応募者本人が造った「ポートフォリオ」に対し「課題を持っているか」ということです。
なぜなら、WEBプログラマーを含め、多くのITエンジニアは常に課題を抱えています。
- 思った通りに動作しない
- エラーが解決できない
- もっと良いロジックはないのか
- 顧客(クライアント)の悩みをどうしたら解決できるのか...など
課題を抱えて一つづつ解決していくことが、プログラマーやエンジニアとしてのスキルアップをする手段でもあります。
ですから、現状で決して満足していてはいけなんです。
「ポートフォリオ」を造って提出して終わりなわけではないし、満足していてはいけません。
造った「ポートフォリオ」に対し課題を持ち、もっと良くしていくにはどうしたら良いのかと考えること。
これがWEBプログラマーには必要なんです。
未経験でポートフォリオを求める企業は少ない
とはいえ、プログラマー志望でポートフォリオを求める企業はあまりないのが現状。
実際に、採用試験の際に「ポートフォリオ」提出を求める企業はあるのかなと探してみましたが見つけるのが難しいです。
また、僕もこれまで4回の(IT系)転職を経験しましたが、実際に提出したのは(中途採用で)たった1回。
ということは、未経験の採用でプログラミングスキルを確認することは、面接である程度判断できる「人柄」や「コミュニケーション能力」に比べてそんなに重要ではないということです。
であれば、そんなに時間を掛けてまで作り込む必要もありませんよね。
前置きはこれくらいにしておいて、これからWEBプログラマーの企業に好まれる「ポートフォリオ」の作り方のポイントなど解説していきます。
2.企業に好まれるポートフォリオの作り方のポイント
「ポートフォリオ」制作で意識したいポイントは以下2つ
- 企業の技術と合っていること
- ゼロから作っていること
僕の体験談交えて、順に解説していきます。
ポイント1|企業の技術と合っていること
応募する企業の技術やサービスに合った「ポートフォリオ」を作るのが正解です。
例えば、WordPressでの制作が主な業務内容だとすれば、作成する「ポートフォリオ」もWordPressを使って提出しましょう。
その他、使用言語やフレームワーク、DBなども会社HPから把握し、その技術情報に則ったものであるべきです。
理由は、採用担当者があなたの作った「ポートフォリオ」と自社企業のサービスを比較することができるからです。
比較することで、不足なスキルや順応できるかが判断でき、あなたが初動で活躍できそうかそうでないかが分かります。
また、自社企業で考えてもいなかったアイデアがあなたの「ポートフォリオ」に組み込まれているのであれば、評価は高くなります。
企業にはないアイデアや技術があると高評価
過去に僕が応募した企業は、WEB制作を主体にECサイト開発や運営も主な業務の一つでした。
実際に公開されているサービス(ショッピングサイト)を使ってみて「もっとこんな機能があったら使いやすいなぁ」と思いました。
そこで、僕が趣味程度で作ったWEBサービスは使えそうだしより便利になる!と判断し「ポートフォリオ」としてあらかじめ提出し、いざ面接へ...
実際に見せたものは、GoogleMapAPI(Javvascript)を使った位置情報検索システム。
緯度経度情報をもとにGoogleMap上にピンを立てるというもの。
ECサイトに掲載されているお店までの距離や時間・道順をユーザーに提示することで、より便利に使ってもらえると思ったのがキッカケです。
実際の面接では高評価を得られました。
このGoogleMapAPI(Javvascript)を使った位置情報検索システムを取り込みたいとの理由です。
しかし、提出した「ポートフォリオ」だけで採用されたということは一概に言えません。
ですが、応募した企業でもやりたい!使いたい!と言ってもらえたことは、一定の評価につながったと自負しています。
ですから、応募企業のHPなどを見て、どんな技術でどんなサービスをやっているのか理解しておきましょう。
ポイント2|ゼロから作っていること
企業側は、未経験者が試行錯誤しながらゼロから作ったものかチェックしています。
ゼロと言っているのは、モノを造るに至った意図や目的がどういうものなのかも知りたいのです。
WEBプログラマーは、設計書どおりにプログラミングができればいいというものではありません。
時には顧客(クライアント)の悩みを解決するためのアイデアを出したり、その効果も示していかないといけません。
そのためには、モノづくりの前に良質なアイデアを産まないといけませんから、試行錯誤することが必要なのです。
お粗末であってもいい|未経験らしさを!
未経験者であれば、プログラミング知識・経験はないですから、プログラム的に不細工なコーディングになってしまうこともあるでしょう。
でもそれは未経験でありますから仕方がないことで、なんら問題はありませんよ。
例えば、あなたの造った「ポートフォリオ」の動作が、技術的なことが原因で「遅いモノ」だとしてもぶっちゃけいいんです。
- 繰り返し処理(ループ)で毎回DOM要素を生成してしまっている。
- 重複処理が多く最適化されていないプログラムである。
- 不必要な変数や低速なメソッドが多用されている...
大事なことは、動作が遅い事実を理解し、なぜ動作が遅くなっているのかと疑問に思うことです。
つまり、自身が直面している問題に対し、「課題化」することが未経験者が成長するためには必要なことなんです。
おそらく採用担当者も提出された「ポートフォリオ」は動作が遅いなぁと感じるはずです。
そう感じてもらえたなら、面接官と議論もできるためコミュニケーションスキルを発揮するチャンスです!
面接の時に、きちんと「課題化し解決に向けてあれこれしたり...試行錯誤しながら対応しているところです...」などと伝えると好印象ですよ。
もしかすると、解決のためのヒントなどもらえるかもしれませんね。
そうすれば、あなたはさらに一歩で一歩成長できるのですから。
単に自己満でしかないものはNG
僕が、WEBプログラマーの採用担当として携わった時の話。
なんかカッコいいデザインで、自己紹介やら言語などの多くのスキルセット、趣味などが綴ったトップページがあって...
さらに、制作実績と題してリンクを踏むと普通によくあるWEBサイト(架空のショッピングサイト劣化版)。
そのショッピングサイトは商品画像がスライドし、テキストと画像がただ並べてあるたった1ページもの。
多くのスキルが書いてあるにも関わらず、それに見合った「ポートフォリオ」(制作物)ではないのが残念です。
また、カッコいいデザインは「デザイナー」志望ではないですから無意味です。
スライダーをつけるなんてものは、既製品をただ使っただけのことですから、応募者のオリジナルなロジックではありません。
採用担当者どうしで「一体何を伝えたいの?目的は?」と言ってしまいたくなる「ポートフォリオ」でした。
これでは単に自分の(見かけだけの)スキルを自慢したいだけのものとしか捉えかねません。
なので、せっかく提出した「ポートフォリオ」に対し議論することもできないですから、逆に低評価となり「ポートフォリオ」を出さない方がむしろ良かったです。
時間を掛けすぎる必要はない
たった1ページでも、前述したポイントを満たしているのであれば、企業にとって好まれる「ポートフォリオ」です。
- 「企業のサービス・技術」に沿ったもの
- 「制作物に対しきちんと課題を持っている」
ポートフォリオの制作に長時間使う未経験者もいますが、そんな必要はありません。
次節では、評価されず時間の無駄になってしまうような、ダメな「ポートフォリオ」をご紹介します。
「ポートフォリオ」を時短で仕上げるためにも、ぜひ読み進めてくださいね。
3.ダメなポートフォリオ
- 意味のないページ
- キャプチャだけ
- デザイン面に凝りすぎたもの
- 授業(講義)のものを流用
企業により求めるレベルの「ポートフォリオ」の基準がありますから、一概に「ダメ」とは言えません。
ですが、あなたの「実力をしっかり見てもらいたい!」ということにフォーカスすれば、見るに至らない無駄な「ポートフォリオ」となってしまいます。
順に解説します。
1.意味のないページ
ポートフォリオに、名前や年齢、学歴...といった自身のスペック...特技やスキルセットなどを書くことは、採用担当者が一番見たい「制作物」までたどり着くための障害(雑音)でしかありません。
(応募する企業の、ポートフォリオの作成基準であるならば仕方ありません)
しかし、こうしたスペックなどは、面接時にでも口頭伝えられるし、履歴書にも書くことができます。
(ぶちゃけ嘘をつくことも可能です)
ですが、ポートフォリオは嘘はつくことは出来ず、現在のあなたがプログラミングをどこまでできるのか実力(技術力)を証明するものです。
なので、採用担当者にすぐに見てもらえるよう、ダイレクトに「制作物」を見せるべきです。
無駄なページを作らなくてもいいですから、制作するにあたり時短にもなりますよ。
ソースコードは見たくない
その他Githubというソース管理のurlを送りつけるのも控えるべきです。
採用担当者はいちいちソースを見てられないですし、レビューするつもりもありません。
しかも、本来の採用担当者ではない社長や常務といった、開発現場に携わらない役員の方も見ることもあります。
こうした役員の方に「制作物」を見てもらえないのは、正直損でしかありません。
2.キャプチャだけ
デザイナーではないんですから、画面キャプチャはやめましょう。
画面キャプチャから読み取れることなんて、デザイン面のことだけです。
あなたはWEBプログラマーとして応募しているのですから、実際に動きのある制作物にしましょう。
採用担当者をあなたのユーザー(お客さん)に見たてて、実際に使ってもらいましょうね。
3.デザイン面に凝りすぎたもの
WEBプログラマー志望であるならば、デザイン面にこだわる必要はありません。
(フロントエンドに特化したWEBプログラマーならありかも)
視覚効果のパララックスや、ボタンや画像などのアニメーションなど、ユーザーによっては却って使いにくいものとなります。
また、無駄にデザイン性を重視し画像が多く使われていたりして動作が遅くなるのはNGです。
なぜなら、あなたはWEBプログラマー志望なのですから、デザインなんて二の次ですからこだわる必要がありません。
デザインに関しては、最低限整った配置がされていて、要素が崩れていなければOKです。
4.授業(講義)のものを流用
学校などの授業で使った制作物を、ポートフォリオとするのはやめましょう。
なぜなら、学校で何らかの課題が与えられて作った制作物だからです。
WEBに関して、あなた自身が何らかの問題を抱え、それを解決する目的で作ったものではありません。
採用担当者に「なぜこれを作ろうとしたのか?」と聞かれると、その答えにつまってしまいますよ。
4.まとめ|転(就)職活動に注力を!
最後に要点をまとめて終わりにします。
企業がポートフォリオを求める理由
- 実績や経験・スキル面のレベルを計る
- 課題意識があるか確認
好まれるポートフォリオの作り方やポイント
- ポイント1|企業の技術と合っていること
- ポイント2|ゼロから作っていること
ダメなポートフォリオとは
- 意味のないページ
- キャプチャだけ
- デザイン面に凝りすぎたもの
- 授業(講義)のものを流用
「ポートフォリオ」は、現在のあなたがプログラミングをどこまでできるのか実力(技術力)を証明するものです。
しっかりとポイントを押さえ、今の持ち合わせているスキルで、「企業のWEBサービスにあったらいいな」「もっとこうしたらユーザーに好まれる」と思ったことを実際のWEBサービス(サイト)という形でダイレクトに見てもらいましょう。
あなたのスキルを知ってもらうことはもちろんのこと、しっかりと課題と向き合いスキルアップしたいという姿勢が、採用担当者に伝わりますよ。
「ポートフォリオ」ができれば、あとは転職・就職活動に注力しましょう。